いろいろな食材の葉酸含有量(μg/100g食材)
シークヮーサー100gに含まれる葉酸は7㎍といわれています。その量が多いか少ないかをみるために、下表に代表的な食材100g当たりの葉酸含有量(マイクログラム, μg, 10-6g)を示しています。各食材のカテゴリー上位から代表的なものを1〜3個示しています。カテゴリーの境界線は表には示していません。柑橘系の葉酸が少ないことがわかればいいと思ったからです。
食材100g当たりの葉酸(μg)(各種食材の上位から2〜3位まで適当に抽出)
こうして全体的に見てみると、柑橘類に葉酸はあまり含まれていないことがわかります。よって、シークヮーサーの7㎍はかなり少ないといえます。
上表からわかることは、鶏やうなぎなどの肝、のり、抹茶、ドライイーストなどが葉酸の含有量が多く、野菜や柑橘類に含まれる葉酸は少ないです。葉酸を摂りたいなら、柑橘系よりも他の食材の方が効率的です。
最近は葉酸サプリがたくさん出ているので、それを利用するのが最も効率が良さそうです。熊本市の産婦人科の先生もテレビのCMで葉酸サプリの摂取を勧めています。
葉酸の分子構造
葉酸はプテロイル基とp-アミノ安息香酸残基とL-グルタミン酸残基からなっています。L-グルタミン酸残基は1個から7個まであり、1個の場合をモノマー型の葉酸、2~7個の場合をポリマー型の葉酸といいます。ポリマー型の葉酸の吸収率はモノマー型の50%といわれています。
なお、合成の葉酸が悪いということはありません。よく、化学合成を悪者扱いする人がいますが、そういう人は西洋医学の恩恵は受けていないのでしょうか。天然物を無条件にいいと考えるのは思考停止状態に陥っていると言わざるをえません。分子と体の相互作用で毒か薬かが決まるので、天然物か合成物かというのは関係ありません。だいたい分子構造が同じであれば葉酸は葉酸です。化学合成で違うものができるのであれば、それはもはや別物です。また、よく「石油からつくられているからダメ」という人がいますが、それは売るための方便としては理解できなくもないですが、「自分は無知です」と公言しているようなものですので、注意しましょう。
実際に、世の中に存在する毒を毒性の強さの順に並べたら、上位は天然物が占めています。10位にやっとVXがくるくらいですが、11位以降もやはり天然物が多いです。天然のものは何でもかんでも体にいい、化学合成したものは無条件に体に悪いと思っている人は認識を変える必要があると思います。百歩譲ってもし問題があるとすれば合成時に副生した不純物ですが、現在の技術ではかなりの純度まで精製できます。そもそも危ないものが売られていたら大変なことです。合成物が天然物と比べて品質が悪いとか危ないとかいうことはありません。薬はほとんどが合成品です。天然物だろうが合成物だろうが最終目的物に至るまでのプロセスが違うだけでモノは同じですから。違うものができるのであればそれは別物ですので、比較すらできません。
葉酸のケト-エノール互変異性
葉酸のプテロイル基の方の構造式をアミノ基(>NーH)とケトンのカルボニル基(>C=O)という組み合わせのケト型で書いてある場合と、エノール型(N=CーOーH型)で書いてある場合があるかもしれません。でも、これはどちらも間違いではありません。ケト-エノール互変異性という化学平衡における左辺と右辺のどちらかを書いてあるに過ぎません。エノール(enol)というのはエンとオール、すなわち二重結合(ene)とアルコールまたはフェノール性水酸基(-ol)です。「ene + ol」で「enol」です。
ケト-エノール互変異性におけるケト体
ケト-エノール互変異性におけるエノール体
プテロイル基の部分は、例えば核酸塩基のプリンやピリミジンの形成する相補的水素結合にみられるような多重水素結合を形成可能な構造をしています。もちろん、相手が何かによりますが・・・。核酸塩基でいうならば、アデニン(A)とチミン(T)の三重水素結合、グアニン(G)とシトシン(C)の形成する二重水素結合が有名ですが、これらの塩基対を形成している水素結合を相補的水素結合といいます。ちょうど相手と自分が鍵と鍵穴のようにしっかりはまりこむようなタイプの多重水素結合です。