いろいろな食材のビタミンB1含有量(μg/100g食材)
シークヮーサー100gに含まれるビタミンB1は0.08mg(80㎍)といわれています。その量が多いか少ないかをみるために、下表に代表的な食材100g当たりのビタミンB1含有量(マイクログラム, μg, 10-6g)を示しています。各食材のカテゴリー上位から代表的なものを1〜3個適当に示しています。カテゴリーの境界線は表には示していません。柑橘系にはビタミンB1が少ないことがわかればいいと思ったからです。
ビタミンB1は糖質がエネルギーに変わるときに必要な補酵素の役割を担っています。補酵素は単独ではほとんど機能を示しませんが、アポ酵素というタンパク質と結合してホロ酵素となります(ホロ酵素 = アポ酵素 + 補酵素)。酵素にはそれ自体が触媒活性を示すものと、補酵素が結合して触媒活性を示すものがあります。前者はα-キモトリプシンとか、パパインといった酵素です。触媒活性部位には例えばα-キモトリプシンにはα-アミノ酸のL-アスパラギン酸やL-ヒスチジンやL-セリンがあります。セリンの水酸基が直接作用してペプチド結合の>C=Oを攻撃して加水分解します。後者のタイプは補酵素が必要なので、その前駆体のビタミンが必要です。
食材100g当たりのビタミンB1(μg)(各種食材の上位から2〜3位まで適当に抽出)
こうして全体的に見てみると、柑橘類にビタミンB1(チアミン)はあまり含まれていないことがわかります。よって、シークヮーサーの70㎍は夏みかんと同じくらいです。柑橘類の中では多い方と言えますが、他の食材と比べると少ないです。
柑橘類からビタミンB1を摂りたいなら、みかんや金柑がいいようです。しかし、ビタミンB1を効率的に摂りたいなら、柑橘系よりも他の食材の方がいいです。
ビタミンB1(チアミン)のIUPAC名
ビタミンB1のIUPAC名は2-[3-[(4-amino-2-methyl-pyrimidin-5-yl)methyl]-4-methyl-thiazol-5-yl]ethanolです。
何を主化合物にするかによっていくつかの命名パターンが考えられますが、ここではエタノールCH3CH2OHに置換基が付いているという形で命名します。
エタノールの2-位の炭素に置換基としてチアゾールthiazoleが付いています。よって基本的に2-[置換基]ethanol、すなわち、2-[thiazolyl]ethanolとなります。そのチアゾールには3-位と4-位にメチル基(CH3-)が付いていて、さらにその3-位のメチル基にはピリミジン環が付いています。そのピリミジン環には2-位にメチル基と4-位にアミノ基が付いています。これらのことをすべて構造式で再現できるように命名するのがIUPAC命名法です。チアゾールの5-位のところがエタノールに繋がっているので、アルカンalkaneがalkylになるのと同様に考えるとthiazoleがthiazolylとなります。5-位のところが繋がっていることがわかるようにthiazol-5-ylとなります。ピリミジン環のところも5-位のところがチアゾール環に付いているメチル基につながっているのでpyrimidineがpyrimidin-5-ylとなります。あとは、アミノ基とメチル基とピリミジル基の頭文字がアルファベット順になるように並べます。そうすると、
2-[3-[(4-amino-2-methyl-pyrimidin-5-yl)methyl]-4-methyl-thiazol-5-yl]ethanol
となります。置換基にさらに置換基が付いている場合は( )の外側に[ ]を使って入れ子構造で表わします。階層がもっと増えたらさらに外側に[ ]を使います。