柑橘類の皮やスジなどに多く含まれるヘスペリジン

ヘスペリジンの抗酸化作用

ヘスペリジンは、二糖がグリコシド結合によりフラボン骨格に結合した配糖体です。別名「ビタミンP」です(ビタミンPもいくつかの種類があります)。温州みかんやはっさく、ダイダイなどの果皮および薄皮に多く含まれています。ヘスペリジンはビタミンCと共存し、ビタミンCが酸化されるのを防ぐといわれています。ビタミンCは酸化防止剤ですので、抗酸化作用がある還元剤です。自身が酸化されて相手が還元されるという仕組みです。ヘスペリジンも酸化防止剤ですので、還元剤です。両者が共存するとより酸化されやすい不安定なビタミンCが酸化されにくいようにヘスペリジンが犠牲的還元剤として補助的な役割を果たしていると考えられます。これによってビタミンCの酸化が抑制されます。

一般にビタミンは補酵素になり、酵素反応を助けます。しかし、ビタミンPはビタミンC同様、ビタミン様物質といって、本来の補酵素の前駆体としてのビタミンではないので、酵素反応には直接は関係ありません。

ヘスペリジンが存在する場所

ヘスペリジンはまだ青いみかんの果実の表皮(外果皮)や中果皮、内果皮、果心、スジなどに含まれる成分です。抗アレルギー作用のほか、血管の強化作用などがあるといわれています。みかんを剝いて食べる時に、一生懸命スジをとって食べる人がいますが、それはとてももったいないと言えます。私の場合はみかんは袋ごと食べて、カスは出しません。その方がお通じがいいと感じているからです(個人の感想)。

ポリフェノールの意味

ポリフェノールの一種です。フェノールはベンゼン環に水酸基(-OH)が付いた化合物で、この水酸基はアルコール性水酸基と区別してフェノール性水酸基といいます。なぜ区別する必要があるかというと、アルコール性水酸基は酸性を示さない、つまり、H+を放出しないのですが、フェノール性水酸基は弱酸で、水溶液中、pH8〜9あたりで約半数の分子が解離してH+を放出します。ポリフェノールはそのフェノール性水酸基がたくさんあるものです。ポリ(poly)は「たくさん」という意味があります。ポリマーがそうです。モノマー(単量体)がたくさん繋がってポリマー(多量体)になっているということです。冒頭のアイキャッチ画像の構造式を見ると、フェノール性水酸基は2個あり、さらにフェノール性水酸基のHがCH3に変わったもの(メトキシ基、methyl基とoxy → methoxy基)が1個あります。本来はフェノール性水酸基が3個あったのですが、そのうちの1個がメチル化されたため水溶性が若干低下した形になっています。ヘスペリジンはフェノール性水酸基とアルコール性水酸基の両方を持っています。上の構造式の左側の糖に付いている水酸基はアルコール性水酸基です。ベンゼン環に直接繋がっている水酸基がフェノール性水酸基で、もし、C6H5CH2OHのように、ベンゼン環と水酸基の間にメチレン(-CH2-)が入っている場合は、その水酸基はフェノール性水酸基ではなく、アルコール性水酸基です。






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