シークヮーサーに含まれるシネフリンの性質を分子構造から推測してみた

シネフリンとは

シネフリンとは柑橘系に含まれる有機化合物です。よく含まれている柑橘はウンシュウミカン、ナツミカン、ダイダイなどです。シークヮーサーにも含まれています。

シネフリン(synephrine)
シネフリン

シネフリンはアルカロイドの一種です。アルカロイドとは、植物中に存在し、窒素原子Nを含む塩基性化合物の総称です。シネフリンは柑橘類に含まれ、アミノ基を持っているのでアルカロイドです。

シネフリンの性質

シネフリンは水に溶けます。あまり大きな分子ではないにもかかわらず、溶媒の水分子と水素結合できる部分がたくさんあるからです。親水基は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、そして第二級アミンの部分です。

特に酸性の水中ではアンモニウム型で存在し、アルカリ性の水中(おおむねpH9以上)ではフェノール性水酸基から水素イオンH+が解離してフェノラートアニオン型の分子CH3NH-CH2CH(OH)C6H4Oになるので、水に溶けると思います。分子があまり大きくないので、分子全体に占める親水基の割合が比較的大きいからです。中性付近の水中では等電点があるので(陽イオンと陰イオンがちょうど同じ数だけ存在するので)電荷を打ち消し合って沈殿する可能性もありますが、非イオン性のアルコール性水酸基が1個余って存在しているので、水に溶けたまま存在できる可能性が高いです。

シネフリンの効能

シネフリンは食欲を抑える働きや、脂肪の燃焼を促進する効果、酵素であるリパーゼを活性化する働きがあるといわれています。酸味成分であることも知られています。酸味を示すのは、フェノール性水酸基があるからと考えられます。アルコール性水酸基も同じ分子内にありますが、アルコールは酸味はないことは日本酒や焼酎、ウィスキーなどでわかります。もしこれらで酸味があったら、エタノールCH3CH2OHが酸化されて酢酸CH3COOHになっているのかもしれません。

シネフリンのIUPAC名

IUPAC名は4-[1-hydroxy-2-(methylamino)ethyl]phenolとなります。上の構造式で右側から辿ってざっくりと主鎖の部分を命名すると、メチルミノエチルフェノールとなります。これに水酸基を付けたりすると、

4-[1-hydroxy-2-(methylamino)ethyl]phenol

となります。フェノールの水酸基のところが1番です。フェノールという名称を使う時点で水酸基の付いている炭素が1番であるのは自明です。すると、4位のところにエチル基が付いています。そのエチル基の1番の炭素に水酸基が付いていて、2番の炭素にメチルアミノ基がついていると考えると、4-[1-hydroxy-2-(methylamino)ethyl]phenolになることがわかると思います。

フェノールC6H5OHの水酸基からみて最も遠いところに置換基が付いているときに、位置番号で4-を付けるか、p-を付けて命名する方法があります。p-は「パラ」と読みます。それゆえ、p-シネフリン(p-synephrine)という慣用名もあります。

フェノール系の化合物は、特にポリフェノールに見られるように、抗酸化性を示すものが多いです。抗酸化物質は体内に発生した活性酸素を捕捉して無毒化してくれる働きがあります。






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